スウェーデンの保育 ストックホルム編②

スウェーデンでのförskola視察2園目はストックホルム市ではなくナッカ市(首都ストックホルム市と同じくストックホルム県の中の一つの市)というところにある園でした。ストックホルム中央駅から地下鉄とバスに乗って30分ほどにあるS-förskolaです。

 

 

ちなみにスウェーデンの全人口は約983万人(2015年11月スウェーデン統計庁より)であり、ストックホルム市は約91万人に対してナッカ市の人口は約9万8千人となっています。関西圏でいうと芦屋市(人口93000人)のイメージでしょうか。大阪・神戸へも通勤圏内であり、一戸建ての多い少し高級住宅地のような感じです。

 

このS-förskolaは親協同組合立といってförskolaに通う子どもの保護者達が理事となり運営にかかわっています。そのため保育者などの職員採用にも保護者が意見することができるのです。公立園との保育の質に差は出ないかと思われるかもしれませんが、スウェーデンではバウチャー制度(子どもの数に応じて自治体からförskolaの運営費が交付される)があり運営費に公立私立の違いは出ず利潤目的の運営にならないこと、年間に行われる監査・年次報告書の調査が大変厳しいため保育の質は公立、私立そして親協同組合立を問わず差はありません。保育の質が保たれていない場合は即刻、園が閉鎖になってしまうからです。

 

img600_01

 

S-förskolaの園舎はご覧のように一見すると園だとは分からないものです。実は地域の公民館のような建物を借りて保育が行われているのです。そのため2階はランチルームとして開園日は使っていますが、休日など地域の方々の集会などにも使われるそうです。
子どもの数は全員で16名、1~2歳児は在園していませんでした(これはたまたま今年度希望者がいなかったため)。園長先生を入れて保育者は全員で4名という日本であれば小規模園に該当する感じですね。しかしスウェーデンで最も早くモンテッソーリ教育を取り入れ1973年に開園した歴史ある有名な園です。

 

モンテッソーリ教育というのは20世紀初頭イタリアのマリア・モンテッソーリが提唱した教育・保育のありかたです。子どもたちの日常生活を大切にすると共に、敏感機と言われる時期を逃さず五感をとおし直接体験できる教具を用いる…などいくつかの特徴があります。
例えば、下の写真のような円柱さしという教具は視覚的、直接的にものの大きさを区別することをねらいとしていますし、構成三角形なども遊びながら色サイズ形の区別ができるようになっています。このようなモンテッソーリ教具がたくさん用意されていました。

 

img601_02

 

さて、S-förskolaの保育室は大きく分けて3部屋あります。玄関を入ってすぐのコーナー。この奥にはキッチンがあり、簡単なおやつの準備や先生方の休憩スペースにもなります。そして先ほどのモンテッソーリ教具やパズルなど色々な遊具がある部屋。その奥に少し広めの部屋があり、ここには絵本や図鑑がありアルファベットや数字に興味を持てるような環境になっていました。この日はクリスマスやルシア祭に関係ある塗り絵、ブロック、粘土でケーキを作る、絵本を読む…などの遊びが行われており、基本的に各遊びの場には保育者がそれぞれついて適宜援助をされていました。

 

img602_03

 

この部屋ではテーブルでルシア祭用のジンジャークッキーを作っているところです。生地を伸ばしながらチョイチョイつまみ食いをしているところも見せてもらいました(笑)。

 

img603_04

 

いつもは午前中の遊びは室内だけでなく園庭でも遊ぶそうですが、今回はこのジンジャークッキー作りが遊びの中心となったため園庭に出るのは午後からになったとのことでした。そして、11時頃になると全園児が奥の部屋に集まり、ジンジャークッキーの話、ルシア祭やクリスマスの話をします。
サムリング(話し合い)は通常どこのförskolaでも行われています。私が幼稚園で働いていた時も、遊びのあとには必ずクラスで集まって今日の遊びの振り返りをしたり、クラスみんなでする遊びや絵本を読んだり歌を歌うということをしました。それに近いものですね。
しかし、日本の多くの幼稚園や保育園でみられるようなクラス全員で一斉に行う制作遊び(折り紙・絵を描く…など)は行われません。それは大人数で同時に出来るもの・するものではないと考えられているからです。逆になぜ日本はクラスで一斉に同じ遊びをするのでしょうか?この考え方の違いが保育観の違いですよね。

また、ルシア祭で歌う歌は何曲もあります。その歌をサムリングの際に練習していましたがスウェーデンのförskolaの保育室にはピアノはありません。さて、それはなぜでしょう? では、どのように歌の練習をするのでしょう?…この答えはまた後のコラムで書きますね。

 

img604_05

 

サムリングを終えた後は2階へ行きランチタイムです。園児16人が使うにはとても広く、また天井は高く素敵な空間!そこでゆっくりと食事をしていました。この日のメニューはショートパスタにサラダでした。食後は園庭に出て遊ぶのですが、その園庭の広さにはビックリですよ!(つづく)