伝える

今年に入ってから、大型自動二輪の免許を取りに、密かに教習所通いをしていたのですが、先日ようやく卒業検定を受け、無事に合格しました。教習をうけるのは久しぶりで、自分の乗り方がいかに雑になってきていたのかを認識させられることが多くあり、へこむことも多々ありました。

教習ではいくつかの課題があり、その中でまったくと言っていいほど上手くいかなかったのがスラロームと呼ばれる課題です。教習の後半まで悪戦苦闘し、悩んでいたのですが、ある日、見かねた教官が私の教習車の前に立ってバイクを左右に振り、膝を使って頭をあまり動かさずに操作する方法を体験させてくれました。たったそれだけだったのですが、それまで何度も口頭で説明され、前を走って見本を見せられても全く上手くいかなかった操作が、見る見るうちに改善され、課題をクリアすることが出来るまでに変化しました。

私の専門は障害者雇用なのですが、その障害者雇用を支える人としてジョブコーチと呼ばれる専門職がいます。今回の教習所の教官の教え方はジョブコーチの教え方と似ているところがあるな、と感じました。知的障害がある方に机の拭き方を伝えるとき、口頭で説明するだけで出来るかを見る。出来なければやってみせる。それでもだめであればその人の手にジョブコーチの手を添えて一緒に拭いてみる、という段階を踏むことがある、という話を聴いたことがあります。今回、私は出来の悪い教習生でしたので、そのような伝え方を教官が選択した、ということです。

知識の伝達の場面ではこの方法が当てはまるのかは分かりませんが、少なくとも、身体を使って習得するものであれば、多くの場面で使われている方法なのだと思います。方法が伝わって出来るようになった時の嬉しさはとても大きいものがあります。私もそのような伝え方が出来るように精進したいと思います。